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ひび割れ幅と補修工法の決め方

ひび割れ補修で揉めるのは、ほとんど「幅をどう測って、どの工法にしたか」の根拠です。調査のときに幅と挙動を記録し、記号を工法の区分で分けておけば、数量も精算も自然に通ります。

最終更新 2026/11/04読む目安 約8分書いた人:施工管理の経験をもとに Marky を作っている開発者

まず「何のひび割れか」を見る

幅を測る前に、原因の見当を付けておくと工法の判断が早くなります。外壁でよく見るのは次の 4 つです。

種類見た目・出る場所補修の考え方
乾燥収縮・温度によるひび割れ開口部の隅から斜めに、壁の中央に縦に、長い壁に等間隔で。幅は細〜中くらい。温度で開閉する(挙動がある)ものが多い幅で区分。挙動があれば伸びに追従する材料で
網状(ヘアクラック)モルタル表面に細かく網の目状。幅 0.2mm 未満が多い表面を被覆(シール工法・塗膜)で止める
鉄筋の錆によるひび割れ鉄筋に沿って直線に、錆汁がにじむ、周りが浮く・爆裂ひび割れ補修でなく、はつり → 防錆 → 断面修復
構造的なひび割れ梁・柱・壁の端部に斜めに、幅が大きい、段差がある、貫通している設計者・監理者に報告。勝手に工法を決めない
構造的なひび割れや貫通ひび割れ(裏側に漏水跡がある)は、補修図の記号を置く前に監理者に見てもらいます。下に書く幅の区分は、乾燥収縮・温度・網状のひび割れが対象です。

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幅の測り方(記録に残すのは 4 つ)

写真は、スケールを当てた寄りと、面と階が分かる引きの 2 枚。幅の数字を写真に残しておくと、精算で「本当に 1mm あったのか」を聞かれても困りません。

幅と挙動による工法の区分(一般的な目安)

公共建築改修工事標準仕様書などで一般に使われている区分は、おおむね次のとおりです。設計図書・特記仕様書の指定が最優先で、版や物件で境目が変わります。

幅の目安工法内容・向き不向き
0.2mm 未満シール工法(表面被覆)ひび割れの上に可とう性エポキシ樹脂やポリマーセメントを塗って表面を覆う。網状のひび割れや細いものに。塗装で隠れる
0.2mm 以上 1.0mm 以下樹脂注入工法(低圧注入など)ひび割れに沿って注入口を 200〜300mm ピッチで付け、エポキシ樹脂を低圧でゆっくり入れて内部まで埋める。挙動があれば可とう性エポキシなどの伸びる材料にする
1.0mm 超、または挙動が大きいU カットシール材充填工法ひび割れに沿って U 字形に溝を切り、プライマーの後にシーリング材や可とう性エポキシを充填し、表面をモルタルなどで仕上げる。動きに追従するが、溝を切るので仕上げが要る
錆汁・浮き・爆裂を伴うはつり → 防錆 → 断面修復ひび割れ補修の項目ではなく、爆裂補修の項目で数える(箇所または面積)
例:南面 2 階、開口部の隅から斜めに 1.8m、最大幅 0.4mm、昼に幅が狭まる → 幅は注入の範囲だが挙動あり → 可とう性エポキシの低圧注入。記号は「0.2〜1.0mm(注入)」、備考に「挙動あり」。

記号の分け方と数量の出し方

記号は「工法の区分」で分ける(幅そのものでなく)

記号を「0.2mm 未満(シール)」「0.2〜1.0mm(注入)」「1.0mm 超・挙動あり(U カット)」の 3 つに分けておくと、記号の数量がそのまま工法ごとの数量になります。幅を細かく分けすぎると、現場で迷って記録が止まります。

単位は m。注入は「長さ」と「注入口数」の両方を残す

ひび割れの数量は長さ(m)で拾います。樹脂注入は見積が注入口(m あたり何口)で組まれることがあるので、長さ 1.8m・ピッチ 250mm → 注入口 8 口、のように長さと口数の両方を数量表に出しておくと、どちらの積算にも合わせられます。

色は幅の区分、線の種類は挙動

同じ形(線)で色だけ変えると白黒コピーで分からなくなるので、挙動ありは波線・なしは実線、のように線の種類も変えておくと図面だけで伝わります。

記号の形・色・単位の例は 凡例の見本集、面ごとの数量表の作り方は 下地補修の数量の拾い方 にまとめています。

よくある失敗と防ぎ方

幅を測らず、全部 U カットにした

仕上げの手間と費用が増え、溝だらけで見た目も悪くなります。0.2mm 未満は被覆、1.0mm 以下は注入、と区分して記号を分けます。

挙動のあるひび割れに硬い樹脂を注入して、1 年で再び割れた

温度で動くひび割れは、硬質エポキシでは追従しません。調査時に「挙動あり」を備考に残し、可とう性の材料か U カットにします。

塗装のあとに、補修跡が目立って居住者から指摘された

U カットの仕上げ面が周りと違う、注入口の跡が残る、などが原因。補修後の仕上げ(パターン合わせ・下地調整)まで補修図の備考に書き、検査の記号で追いかけます。

貫通ひび割れの裏側を見ていなかった

バルコニーの手すり壁やパラペットは、外側のひび割れが内側まで通っていることがあります。片面だけ補修すると雨水が回ります。両面の記録を残し、同じ番号で結びます。

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下地補修の数量の拾い方ひび割れ・浮き・欠損・タイルの数え方と換算、数量表の作り方。開く →タイル浮きの打診調査と記録のコツ音の聞き分け、マーキング、面積→アンカーピン本数の換算。開く →

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