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タイル浮きの打診調査と記録のコツ

タイルの浮きは、打診で見つけるところまでは誰でもできます。差が出るのは「どう記録して、どう数量にするか」です。ここでは打診の基本と、あとで精算・報告に困らない記録の仕方をまとめました。

最終更新 2026/11/03読む目安 約8分書いた人:施工管理の経験をもとに Marky を作っている開発者

打診調査の目的(何を決めるための調査か)

建築基準法の定期報告では、竣工・外壁改修などから 10 年を超えた建物は、最初の定期報告の時期に外壁タイルの全面打診(またはそれに代わる調査)が求められます。大規模修繕の足場がかかっている時が、全面打診のいちばんの機会です。詳細は特定行政庁の定期報告の手引きで確認してください。

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道具と準備

ものポイント
打診棒(テストハンマー)先端の球を面に転がすタイプが一般的。伸縮式なら手の届かない所も叩ける。球の摩耗で音が変わるので、調査の前に健全な面で基準の音を確かめる。
マーキングチョーク・マーキングクレヨン・養生テープ。色は凡例と同じにする(例:注入=青、張替え=赤、要確認=黄)。雨で消えるチョークは当日中に図面へ写す。
図面面ごとの立面図(縮尺入り)。タブレットに PDF を入れておくと、その場で記号を置ける。
写真面と階が分かる「引き」と、マーキングした範囲の「寄り」。番号札か、図面の記号と結び付く仕組みを用意する。
安全剥落しそうなタイルの下には入らない。足場上で両手を使うので、打診棒は落下防止の紐を付ける。打診の音が出るので、居住者に日時を事前に知らせる。

打診のやり方

1. 面と階で区切り、一定の速さで全面を転がす

足場の層(段)ごとに横へ進み、タイル面に打診棒の球を軽く当てて転がします。速すぎると浮きを飛ばし、強すぎると健全な面でも濁った音がします。健全な面の音を基準にして、違う音がしたら止まるのが基本です。

2. 音の違いを聞き分ける

風の強い日や雨の日は音が聞き取りにくく、濡れた面では音が変わります。迷った所は「要確認」でマーキングして、乾いた日に叩き直します。

3. 浮きの範囲を線で囲み、その場で図面に写す

浮いている範囲を現物に線で囲み、同じ範囲を図面に記号で置きます。張替えは枚で、注入は範囲(面積)で記録します。

4. 重点的に見る場所

見上げ面(ひさしの裏・バルコニーの下端)、ひさしの鼻、まぐさの隅角、伸縮目地の周り、サッシ廻りは浮きが出やすく、剥落したときの危険も大きい場所です。標準仕様書でアンカーピンを一般部分より多く打つ「指定部分」とされているのも、この辺りです。

浮きの種類と対処(注入か、張替えか)

状態よくある対処記録の単位
タイルと下地モルタルの間の浮き(1 枚〜数枚)張替え。浮いたタイルをはつって新しいタイルを張る枚(曲り・マグサは個数と換算)
まとまった範囲の浮き(下地モルタルと躯体の間など)アンカーピンニング エポキシ樹脂注入。ピンで固定して樹脂で一体化m² → 本(穴)
ひび割れを伴う浮き・剥落しかけすぐに撤去して養生。張替えか、範囲が広ければ下地から補修枚または m²。写真を必ず残す
目地の浮き・欠落目地の詰め直し。タイルの浮きとは別の項目m
どの状態をどの工法にするかは設計図書・特記仕様書と監理者の指示が優先です。上は一般的な例で、タイルの種類(二丁掛・45二丁など)や下地の状態で変わります。

記録のルール(精算と報告で困らないために)

記号の色と、マーキングの色をそろえる

現物のマーキングが青なら図面の記号も青。職人さんが現物を見て作業し、監理者が図面を見て確認するので、色がずれると「どれの話か」で止まります。

「範囲」と「穴」と「枚」を別の記号にする

注入の範囲(面)、注入の穴(点)、張替え(枚)を同じ記号にすると集計で混ざります。形で数え方を分けるのが基本です。

写真は引きと寄りの 2 枚、番号で図面とつなぐ

寄りだけだと、どの面のどの階か分かりません。面と階が入る引きの写真を 1 枚足し、図面の記号の番号を写し込むか、記号を押してから撮る仕組みにします。

その日のうちに面ごとに締める

マーキングの数と図面の記号の数を、面が終わるごとに照合します。翌日に持ち越すと、雨でチョークが消えたり、記憶が薄れて確認できなくなります。

数量の出し方(面積から本数へ、枚数と換算)

注入は範囲の面積から本数に換算します。標準仕様書では特記がなければ一般部分 16 本/m²、指定部分(見上げ面・ひさしの鼻・まぐさ隅角など)25 本/m² が目安です。

例:南面 3 階に浮き 3.2 m²(一般部分)→ 3.2 × 16 = 51.2 → 52 本(端数は切り上げ)。見上げ面に 0.6 m² → 0.6 × 25 = 15 本。数量表には面積と本数の両方を残す。

張替えは枚数で、役物は換算して平タイルの枚数相当に直します(例:曲り×2、マグサ×2。倍率は会社・物件で決める)。

例:張替え 平 8 枚・曲り 2 個(×2)・マグサ 1 個(×2)→ 8 + 4 + 2 = 14 枚相当。表には個数と換算後の両方を出し、倍率を注記に書く。

調査時の数量は、施工時に職人さんが再打診すると増えるのが普通です。調査数量と実施数量を同じ表の別の列に残しておくと、増減の説明がそのまま精算の根拠になります。数え方の全体は 下地補修の数量の拾い方 にまとめています。

よくある失敗と防ぎ方

目地の浮きをタイルの浮きとして数えた

目地だけが浮いている音と、タイルが浮いている音は違います。迷ったら目地を軽く押してみる。項目も単位(m と枚)も別です。

マーキングが雨で消えて、図面に写す前に分からなくなった

チョークは当日中に図面へ。消えにくいクレヨンや養生テープを使う。写真を撮っておけば復元できます。

写真が何百枚もあって、どの浮きの写真か分からない

番号を結び付けていないのが原因。撮影時に図面の記号と写真をつなぐ仕組みにする。あとから探す時間は調査そのものより長くなります。

調査の数量と施工の数量が合わず、精算でもめた

調査時の面積・本数と、実施の本数を並べて残す。増えた理由(再打診で広がった、見上げ面の指定部分だった)を備考に 1 行書いておく。

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この手引きの内容を実際の Excel で見たい方へ。数量表・箇所ごとの明細・是正写真帳の見本(Excel)と、社内説明用の A4 2枚(PDF)をメールでお送りします。2営業日以内に運営者が手で送ります。売り込みのメールは送りません。

この作業を図面の上で済ませるなら

Marky(マーキー)は、立面図に記号を置くだけで、記号ごとの数量(m・m²・箇所・穴・枚)を自動で集計し、面ごとの数量表と明細を Excel に出す現場向けのアプリです。タイルの曲り・マグサの換算(例:曲り×2)も記号ごとに設定できます。

下地補修の数量の拾い方ひび割れ・浮き・欠損・タイルの数え方と換算、数量表の作り方。開く →大規模修繕の下地調査の進め方準備・打診・マーキング・記録・図面化までの流れ。開く →

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