現場の手引き | 無料
タイルの浮きは、打診で見つけるところまでは誰でもできます。差が出るのは「どう記録して、どう数量にするか」です。ここでは打診の基本と、あとで精算・報告に困らない記録の仕方をまとめました。
| もの | ポイント |
|---|---|
| 打診棒(テストハンマー) | 先端の球を面に転がすタイプが一般的。伸縮式なら手の届かない所も叩ける。球の摩耗で音が変わるので、調査の前に健全な面で基準の音を確かめる。 |
| マーキング | チョーク・マーキングクレヨン・養生テープ。色は凡例と同じにする(例:注入=青、張替え=赤、要確認=黄)。雨で消えるチョークは当日中に図面へ写す。 |
| 図面 | 面ごとの立面図(縮尺入り)。タブレットに PDF を入れておくと、その場で記号を置ける。 |
| 写真 | 面と階が分かる「引き」と、マーキングした範囲の「寄り」。番号札か、図面の記号と結び付く仕組みを用意する。 |
| 安全 | 剥落しそうなタイルの下には入らない。足場上で両手を使うので、打診棒は落下防止の紐を付ける。打診の音が出るので、居住者に日時を事前に知らせる。 |
足場の層(段)ごとに横へ進み、タイル面に打診棒の球を軽く当てて転がします。速すぎると浮きを飛ばし、強すぎると健全な面でも濁った音がします。健全な面の音を基準にして、違う音がしたら止まるのが基本です。
風の強い日や雨の日は音が聞き取りにくく、濡れた面では音が変わります。迷った所は「要確認」でマーキングして、乾いた日に叩き直します。
浮いている範囲を現物に線で囲み、同じ範囲を図面に記号で置きます。張替えは枚で、注入は範囲(面積)で記録します。
見上げ面(ひさしの裏・バルコニーの下端)、ひさしの鼻、まぐさの隅角、伸縮目地の周り、サッシ廻りは浮きが出やすく、剥落したときの危険も大きい場所です。標準仕様書でアンカーピンを一般部分より多く打つ「指定部分」とされているのも、この辺りです。
| 状態 | よくある対処 | 記録の単位 |
|---|---|---|
| タイルと下地モルタルの間の浮き(1 枚〜数枚) | 張替え。浮いたタイルをはつって新しいタイルを張る | 枚(曲り・マグサは個数と換算) |
| まとまった範囲の浮き(下地モルタルと躯体の間など) | アンカーピンニング エポキシ樹脂注入。ピンで固定して樹脂で一体化 | m² → 本(穴) |
| ひび割れを伴う浮き・剥落しかけ | すぐに撤去して養生。張替えか、範囲が広ければ下地から補修 | 枚または m²。写真を必ず残す |
| 目地の浮き・欠落 | 目地の詰め直し。タイルの浮きとは別の項目 | m |
現物のマーキングが青なら図面の記号も青。職人さんが現物を見て作業し、監理者が図面を見て確認するので、色がずれると「どれの話か」で止まります。
注入の範囲(面)、注入の穴(点)、張替え(枚)を同じ記号にすると集計で混ざります。形で数え方を分けるのが基本です。
寄りだけだと、どの面のどの階か分かりません。面と階が入る引きの写真を 1 枚足し、図面の記号の番号を写し込むか、記号を押してから撮る仕組みにします。
マーキングの数と図面の記号の数を、面が終わるごとに照合します。翌日に持ち越すと、雨でチョークが消えたり、記憶が薄れて確認できなくなります。
注入は範囲の面積から本数に換算します。標準仕様書では特記がなければ一般部分 16 本/m²、指定部分(見上げ面・ひさしの鼻・まぐさ隅角など)25 本/m² が目安です。
張替えは枚数で、役物は換算して平タイルの枚数相当に直します(例:曲り×2、マグサ×2。倍率は会社・物件で決める)。
調査時の数量は、施工時に職人さんが再打診すると増えるのが普通です。調査数量と実施数量を同じ表の別の列に残しておくと、増減の説明がそのまま精算の根拠になります。数え方の全体は 下地補修の数量の拾い方 にまとめています。
目地だけが浮いている音と、タイルが浮いている音は違います。迷ったら目地を軽く押してみる。項目も単位(m と枚)も別です。
チョークは当日中に図面へ。消えにくいクレヨンや養生テープを使う。写真を撮っておけば復元できます。
番号を結び付けていないのが原因。撮影時に図面の記号と写真をつなぐ仕組みにする。あとから探す時間は調査そのものより長くなります。
調査時の面積・本数と、実施の本数を並べて残す。増えた理由(再打診で広がった、見上げ面の指定部分だった)を備考に 1 行書いておく。
Marky(マーキー)は、立面図に記号を置くだけで、記号ごとの数量(m・m²・箇所・穴・枚)を自動で集計し、面ごとの数量表と明細を Excel に出す現場向けのアプリです。タイルの曲り・マグサの換算(例:曲り×2)も記号ごとに設定できます。